ラバーカップでの格闘も虚しく、プロの業者に高圧洗浄を依頼して、ようやく取り戻したトイレの平穏。しかし、それから数ヶ月後、またしても便器の水位がゆっくりと上がってくる。桜井市で配管交換した水漏れ修理に節水トイレの使い方も見直し、大量のペーパーを流さないよう注意しているのに、なぜまた詰まるのか。もしあなたが戸建て住宅にお住まいなら、その繰り返すトイレつまりの真犯人は、家の中ではなく「庭」に潜んでいるかもしれません。その黒幕の名は「排水マス」です。 排水マスとは、敷地内の各所から集まってきた排水管(トイレ、キッチン、浴室など)が合流する、中継地点であり点検口の役割を果たす設備です。戸塚区で起こしたトイレトラブルの水漏れには配管が、直径20cm程度の丸い蓋や四角いコンクリートの蓋で、地面に複数設置されています。家の中の排水管が「支流」だとすれば、排水マスはそれらが合流する「本流」の一部。この排水マスや、マスとマスを繋ぐ屋外の配管が詰まってしまうと、家全体の排水の流れが堰き止められ、最も低い位置にある一階のトイレから汚水が逆流してくる、という最悪の事態を招くのです。家の中でどれだけ詰まり対策をしても、その先の出口が塞がれていては、問題が再発するのは当然のことと言えます。 排水マスが詰まる原因は様々です。長年の使用により、トイレから流されたトイレットペーパーの溶け残りや排泄物、キッチンから流された油汚れなどが、排水マスの中でヘドロ状に蓄積・固着していきます。また、庭の木の根が、わずかな水分を求めて排水管の継ぎ目の隙間から侵入し、マスの中でとぐろを巻くように成長して、配管を完全に塞いでしまうケースも珍しくありません。さらに、大雨などによって、マスの中に土砂や落ち葉が流れ込んでしまうこともあります。 この排水マスに異常がないかを確認するのは、決して難しいことではありません。年に一度でも良いので、マイナスドライバーなどを使って自宅の敷地内にある排水マスの蓋を開け、中の様子を点検する習慣をつけましょう。蓋を開けたときに、汚水がマスの上部まで溜まっていたり、不快な悪臭が立ち上ってきたりする場合は、そのマスか、それより下流の配管で詰まりが発生しているサインです。水面にトイレットペーパーや白い油の塊が浮いているのも、流れが滞っている証拠。このセルフチェックを行うことで、トイレが完全に詰まって使えなくなる前に、問題の予兆を察知することができます。 もし、マスの中にヘドロやゴミが溜まっているのを発見した場合、柄の長いひしゃくやスコップである程度取り除くことは可能です。しかし、すでに固着してしまった汚れや、木の根が侵入しているような深刻なケース、あるいはどのマスが詰まっているのか特定できない場合は、無理に自分で解決しようとせず、速やかに専門の業者に相談するのが賢明です。プロは、高圧洗浄機を使ってマスと配管の内部を徹底的に洗浄したり、専用の工具で木の根を除去したりすることができます。 繰り返すトイレつまりは、便器の中だけを見ていては解決しないことがあります。戸建て住宅のオーナーにとって、敷地内の排水マスを定期的に点検・メンテナンスすることは、家の血管とも言える排水システム全体の健康を守り、突然の深刻なトラブルを未然に防ぐための、非常に重要な責務なのです。